ラグランパターン作成3つの応用方法

    

今回は、シャツやブルゾン、スポーツウェア等、カジュアル関係に多く使われているラグラン袖のパターン作成方法について説明します。基本は、左上前のメンズ仕様ですが、右上前で行なえばレディースにも応用出来ます。

この方法は、多くのデザインに使われますので、マスターすればあなたのパターン応用の幅が広がることでしょう!

分からない点があれば、質問してくださいね。

(この記事は、以前旧ブログでアップした記事のリメイクです。)

一枚袖からラグラン袖 ラグラン応用1

ラグラン応用1

前後身頃へラグラン線を描きます(デザイン)。

ラグラン線を描く際は、アームホール下側のインカーブへスムーズに接し、そこの接線を接点として合印し、前身頃はA点、後身頃はB点(合印)を設けます。


ラグラン応用2

図のように、ラグラン線を描いた肩の部分を抜き出します。トレーシングペーパー等に写しておくと袖合わせが楽に出来ます。

このデザインのラグラン袖はセットイン袖に比べネックラインの縫い目が4箇所多くなりますので、出来るだけ正確に写してください。


ラグラン応用3

身頃から抜き出した後身頃肩の図です。

図の一点鎖線のように後肩先P点と袖S.P(ショルダーポイント)を合わせ、後肩先を中心にA点を動かし、後身頃アームホールD線と後側袖山C線の接線を見つけ、接線Gとします。


ラグラン応用4

3図で交わった接線Gを接点Gとし、一点鎖線の位置から接点Gを中心に袖S.P(ショルダーポイント)と後肩先を1.5cm開きます。


ラグラン応用5

身頃から抜き出した前身頃肩の図です。

図の一点鎖線のように前肩先Q点と袖S.P(ショルダーポイント)を合わせ、前肩先を中心にB点を動かし、前身頃アームホールE線と前側袖山F線の接線を見つけ、接線Hとします。


ラグラン応用6

5図で交わった接線Gを接点Hとし、一点鎖線の位置から接点Hを中心に袖S.P(ショルダーポイント)と前肩先Q点を1.5cm開きます。


ラグラン応用7

ラグラン線を描く際は、肩部と袖が一体になるので、肩の厚み分が不足します。従ってP及びQの位置から約0.3cm~0.4cm程ラグラン線の肩先が出るように曲線を描きます。

後側袖と前側袖の曲線は同じ考え方で、N.P(ネックポイント)から約2.5cmはインカーブにします。そこから直線で肩先のP及びQの位置から約0.3cm~0.4cm程、外側へアウトカーブでつながるようR及びSのポイントまで描きます。あとは直線で13に結び完了です。

曲線の描き方は個々の感性によって異なりますが、ラグラン線の美しさをよーく想像して描いてください。


ラグラン応用8

アームホール下側のT線とU線は、図のようにスムーズなインカーブの曲線で3及び4に向けて描きます。

A点とB点がセットイン袖側に(C線とF線)はみ出している部分の巾と同じ分量をC線とF線から外側の各所にポイントを取り、3及び4に向けてインカーブを描きます。

ラグラン切り替え線V~3(後側袖)及びW~4(前側袖)の長さと身頃の長さを確認し、長さが違う場合は3及び4を動かして長さ調整します。

3と4は常に水平であり、上下に動かす場合は同じ分量を一緒に動かします。横に動かす場合は、前側と後側の長さ調整が必ずしも一定とは限りません。この場合は、前側と後側の修正後3~4の中心に直下線を書き13とし、5及び6に袖裾巾を振り分け、3~5、4~6を描きます。


ラグラン応用9

8図では、P~S~13とQ~R~13は重なっていますが、9図では袖を抜き出しRとS及び袖裾13を合わせた状態です。

4図と6図のショルダーポイント(S.P)から肩先PとQを1.5cm開いているので、N.Pから13までのラグラン丈は1.5cm長くなっています。従って13から13’は1.5cm短く修正します。

5’と6’は13’を中心とした水平線で、13’~5’と13’~6’は13~5と13~6の袖裾巾に合わせ、最後に3~5’及び4~6’の線を描き直します。

RとSの合印は、3と4の水平の位置で、PとQはセットイン肩先の位置です。

A点B点の合印と8図のラグラン切り替え線V~3とW~4は、前後身頃との長さ調整の際、正確に印してください。


ラグラン応用10

4図、6図で行った 接点Gと接点Hを中心としてS.PからP点とQ点を1.5cm開きました。素材や仕様、そして目的によっては後袖ラグラン線P点からSの合印の間に0.3cmのイセを入れる場合があります。

その時は、前側袖のS.PからQ点の開く量より後側袖の接点Gを中心に0.3cm余分に開きます。

例えば、前側袖のS.PからQ点を1.5cm開いたとすると、後側袖のS.PからP点は1.8cm開くことになります。

また、袖の落ち着く角度は、袖山の高低でも表現できますが、S.PからP点及びQ点の開け閉めによっても設定することが出来ます。

手を上げやすく機能性を出したい時は、3及び4から3’と4’まで同分量を脇下で上げると良いでしょう。但し身頃との長さ調整は必ず行ってください。

一枚袖からラグラン袖 ラグラン応用2

ラグラン応用2(パネルラインを利用したラグラン袖)です。

ラグラン応用2-1

セットイン袖(普通袖)は、袖山の高さによって袖の落ち着く角度が異なります。

このパターン展開は、身頃と袖を一体型にするための方法です。


ラグラン応用2-2

まず、S.P(ショルダーポイント)から袖中心線と平行に袖を切り開きます。


ラグラン応用2-3

前身頃の肩先Q点と袖山S.P(ショルダーポイント)を図のように合わせます。


ラグラン応用2-4

袖山S.P(ショルダーポイント)を中心に袖山曲線Fが前身頃B点(パネルライン)に着くまで回転させます。


ラグラン応用2-5

Q点は肩先の位置になり、この点で約 0.3cm出します。

N.Pから曲線で13まで描きますが、Q点はラグラン線らしい美しいアウトカーブで描いてください。


ラグラン応用2-6

後身頃の肩先P点と袖山S.P(ショルダーポイント)を図のように合わせます。


ラグラン応用2-7

袖山S.P(ショルダーポイント)を中心に袖山曲線Cが前身頃A点(パネルライン)に着くまで回転させます。


ラグラン応用2-8

P点は肩先の位置になり、この点で約0.3cm出します。

N.Pから曲線で13まで描きますが、P点はラグラン線らしい美しいアウトカーブで描いてください。

身頃からの一枚袖 ラグラン応用3

ラグラン応用3(身頃からの一枚袖)について説明します。

ラグラン応用3-1

前後身頃へラグラン線を描きます(デザイン)。

ラグラン線を描く際は、アームホール下側のインカーブへスムーズに接し、そこの接線を接点として合印し、前身頃はA点、後身頃はB点(合印)を設けます。


ラグラン応用3-2

図のような範囲で、ラグラン線を描いた肩の部分を抜き出しますが、トレーシングペーパー等に写しておくと袖の作成が楽に出来ます。


ラグラン応用3-3

この方法での一枚袖ラグランは、肩に縫い目があると都合の悪いレインコート類等に使用します。

パターン用紙に前身頃と後身頃の肩を合わせた状態で書き写します。

肩線の首側は、そのままN.P(ネックポイント)になりますので合印を付けてください。


ラグラン応用3-4

A点~2と、B点~3の距離は2図で写し取った図を反転し、A点及びB点に近い双方のラグラン線を合わせてA点~2及びB点~3の線を写します。

A点及びB点は合印になるので、正確に合わせ写し取ってください。


ラグラン応用3-5

2と3を直線で結びます。


ラグラン応用3-6

2と3の中心にポイントを打ちます。


ラグラン応用3-7

2と3の中心から直角に袖丈線を描きます。


ラグラン応用3-8

後身頃をラグラン線に合わせ、裄丈をXYZと取ります。これで袖丈裾Zが出ます。


ラグラン応用3-9

袖裾口巾を13から左右均等に6及び7に出して、3~7、2~6と結び完成です。

中心線から2~3及び6~7を設定している理由は、袖が捻れない為です。


ラグラン応用3-10

腕を上げる為の機能性を出す場合、2と3は同じ分量を上げます。

ラグラン線の長さは合印を含め、身頃と同じ長さか確認します。

袖巾は、多少変わりますが、線を引きなおして図のようになります。

ラグラン応用3について寄せられた質問・回答

ラグランについての質問です。

見頃からの一枚袖 ラグラン応用3についてですが、4図の、反転させて合わせるとき、A点及びB点と、どこの点とを合わせるのですか?合わせ方がいまいち解からないのと、ラグラン線の書き方によっては、(例のような直線的な線ではなく、少しカーブをつけると)4図のように、A点から上が接しないですきまが開いて、線のつながりが悪くなります。

特に前が、ちょっと膨らんだようなかたちになりますが、よいのでしょうか?それと、袖幅をもう少し細くしたい場合は、どんな操作になりますか?

まず、カジュルとしてのラグラン線をどのような曲線で描こうと、それはデザインになりますが、パターンを作成する人が曲線に責任を持つことが大切です。

応用3ラグラン線のポイントはA点及びB点になります。A点及びB点は、アームホールと袖クリの分岐点になりますから、A点及びB点に至る手前の曲線を、身頃及び袖のラグラン線の曲線と合うように描いてください。

8図の丸で囲った部分を見てください。B点に至る身頃に描いたラグラン線を反転し、ラグラン袖のクリにする方法は基本ですが、9図は手を上げる機能を高める為、脇下の3’及び4’を同じ量上に上げます。

4~3は後身頃の長さと同じなので4~3’も同じ長さです。5~2は前身頃の長さと同じなので5~2’も同じ長さです。

ラグラン質問1

ラグラン質問2

ラグラン袖の袖巾を変える場合、直接ラグラン袖の袖巾を変えると失敗します。

一枚袖は、身頃のみでラグラン袖を作成することが出来ますので、身頃アームホールの大きさを変えながらラグラン袖の巾を変化させてください。

以上です。

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One Response to “ラグランパターン作成3つの応用方法”

  1. Marina より:

    you are wonderful… thank you so much for all these patterns! God bless you and your family!

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