パターン設計能力がグンッとアップする勉強方法

    

グングンアップ!

「パターンが思うように作成できない。」
「技術が足りないのはわかっているけど、どう勉強して良いかがわからない。」

現在専門学校にいる人も、そしてプロとして企業に属している方でもこの悩みは尽きません。パターンの設計能力を高める為にやることは沢山あります。しかし、沢山ありすぎるが故にどこから手をつけて良いのかわからず、ただただ時間だけが過ぎてゆくという非常にもったいない状況に陥ることもしばしば。

そこで今回は、パターン設計能力を格段にレベルアップさせる方法について説明します。この方法を行うのと行わないのとでは、数年後の技術力にとんでもない差が出ます。もちろん、決して楽な道ではありませんが、プロとしてこの世界を目指したからには是非トップレベルの技術力を身につけて欲しいのです。

それでは、順に見ていきましょう。

間違っても良いから最後までパターンを作成する。

やりきる事で自信も得られる

基本的なパターン設計能力が身についている人はもちろん、まだ勉強中の人も、まずは通しでパターンを作成してください。学校の教科書、または宣伝で大変恐縮ですが私の著書「メンズ技術大百科」を参考に、わからない部分があっても細かい所は気にせず最後までパターンを作成してください。

細かい部分で立ち止まってしまうと先に進みません。また、わからない部分は後で必ずわかるようになりますので、今はグッと堪えて先に進みましょう。

引きっぱなしはダメ。トワル製作で得られるメリット

トワル製作

通しでパターンを作成したら、必ずトワルを組んで確認してください。トワルを組むと以下のようなメリットがあります。

理想と現実の振り幅を少なくできる。

理想と現実のギャップを埋める

トワルを組む事により、作成したパターンがどのように具現化するのかが確認できます。初めは理想と現実の差に愕然とするでしょう!でもそれで良いんです!パターン作成→トワルを組む→パターン修正という流れを繰り返し行う事によって、どんどん理想に近づいていきます。現在第一線で活躍しているトップレベルの人は、この作業を惜しみません。私もどのくらいのトワルを組んだかわからないぐらいです。

そしてこの作業を繰り返していると、ある時、振り幅の逆転現象が起こります。どういうことかと言うと、自分で思っていた理想以上に、良いものが出来上がるのです。もちろん、その間に多くのアイテムを見たり触れたりしてセンスを身に付けるという事も必要ですが、それとこの作業が融合するとデザイナーが要求しているものよりも良い物が出来上がるようになります。

ディティールのバランスやサイズ感がわかるようになる。

バランス・サイズ感を身に付けてミスを回避

トワルを組むと、ポケットの位置・大きさなどのバランスが身についてきます。また、実は結構ありがちなのが、大きく作りすぎてしまったり、小さく作り過ぎてしまうミス。最初はプロでもやってしまうんです。トワルを繰り返し組む事によってサイズ感が身につき、このようなミスを回避できるようになります。

人の体型を学ぶ

痩せている人、太った人、体型は様々!

パターンを作成する上で人の体型の知識は必要不可欠です。では、人の体型を知るとどのようなメリットがあるのでしょうか?そして、知らないとどんな事が起こるのでしょうか?

機能性の高い服が作れる

動きやすく着やすい服

人の体型は様々です。痩せている人、太っている人、筋肉質な人、お腹だけぽっこり出ている人etc…沢山いますよね。このような体型を理解することで、着ていて疲れない服、動きやすい服が作れるようになります。もちろん深い意味で人の体型を理解するには、何処にどの筋肉がついていてどのように動くか等の解剖学的な知識も必要になります。

人の体型を理解していないと起こりうる大失敗

もうダメだぁぁぁぁぁぁ

前述の通り、人の体型は様々です。そして、その知識の重要性をグレーディングの際に思い知る事になります。カジュアルのグレーディングにはそれほど悩むことは無いでしょう。同じピッチで4サイズぐらいポポポーン!と動かすだけで出来てしまいます。ただ、スーツやジャケットのような身体にぴったりフィットさせる重衣料ではそう簡単にはいきません。

太った人、痩せた人、筋肉質な人。これらに合わせたグレーディングでサイズ展開ができていないといけません。会社の規模が大きい場合、グレーディング専門の部署があり、そこに丸投げという事もできるのですが、中小企業や個人メーカーなどは自分でなんとかしなければなりませんよね。

そんな時、人の体型の知識がないと、とんでもない大失敗をやらかす事になります。例えば、普通サイズから痩せ型にグレーディングした場合に「ただ単に肩が小さくなってウエストがガバガバ」とか、普通サイズから肥満体にグレーディングした場合に「お腹は入るけど肩がダボダボ」ということが起こります。

こんな間違い、ありえるのか?と思うかもしれませんが、実際にあります。しかも雑誌などの媒体に沢山載っているようなメーカーでもやってしまう事があります。良くあるのが、マンションメーカー(マンションの一室で営んでいるような会社)でパターンは外注というケース。

ノウハウの無い外注パタンナーが生半可グレーディングに手を出して失敗してしまうのです。何故手を出すのかというと、ちょっとお金の話になりますが、グレーディングはオイシイからなんですね。マスターパターンは大体1型3~4万円ですが、グレーディングは1型2万円弱です。ジャケットのサイズ展開がY体、A体、AB体、B体、O体の各6サイズあったら30型。それら全てグレーディングを行うと少ない作業で60万円弱も稼げる事になります。なので、お金に目が眩んだ外注さんが手を出してしまうのです。

さて、そのミスをメーカーが華麗にスルー(最近覚えました)して商品化までしてしまった際、仮に4万円の商品を2000着作った場合8000万円の上代買い取りになります。グレーディングを失敗した着れない服で8000万円の大損です!

パターンに非があることが明らかな場合、メーカーから損害賠償請求をされる事になります。ですが、それが個人の場合、メーカーも支払い能力が無い事をわかっているので、そこまで追求することが無いと思いますし、そうならない為に二重、三重のチェックをしています。しかしミスしたのがパターン作成会社だった場合、メーカーから損害賠償を受け、一発で倒産という事もあります。

もし、体型の知識があり、グレーディングの技術があればこのような事はもちろん起こりませんし、肥満体の服でもとてもかっこいいものが作れます。そういう人のおメガネに叶う商品が作れるようになれば、肥満体専門店みたいなものも出せますよね。もちろん、痩せ型にぴったり合った服も作れます。

では、どのようにして体型の知識をアップさせれば良いのでしょうか?

仮縫いとフィードバックを繰り返す

やはり基本は反復練習
パターン作成とトワル製作を繰り返すのと似ていますが、仮縫いは実際の人で行うのでフィードバックを得る事ができます。トワルを組んでも「うーん、ちょっと着にくいかな~」なんて教えてくれませんよね!そこで、色々な体型の人で仮縫いをし、着心地のフィードバックを受ける事によって、その体型に合ったパターンを学ぶ事ができます。

仮縫いは基本的にオーダーでしか行わないものなので、企業に属している方はあまりやる機会がないかもしれませんが、できるだけ色々な体型の人で仮縫いを行いましょう。

結果を出している人のパターンを見せてもらう

ちゃんとお願いすれば、色々教えてくれるハズ。

この方法は環境に恵まれていないと出来ないのですが、もしもあなたが大きな企業に勤めていて、仲間が沢山いる場合は是非パターンを見せてもらってください。良質なパターンを見ることによって、前述したパターン作成→トワル製作の作業を幾分ショートカットできます。

できればパターンと商品を照らしあわせてみてください。多くの情報が得られます。

  • 売れている商品がどういう設計になっているのか?
  • 素材が良いのか?デザインが良いのか?パターンが優れているからこそ売れたのか?
  • 全体のバランスはどうだ?
  • 前身頃と後身頃のバランスは?
  • チェストとウエストのバランスは?
  • ディティールのバランスは?
  • 縫製しやすいパターンか?

などなど、色々感じる事ができると思います。

そして疑問に思った事は先輩、後輩問わずどんどん聞きましょう。そうすると、その人独自の方法を聞けたりして、自分のレベルアップに繋がります。

大人になると自分のやり方が一番だと思いがちです。そんな時、他の人のやり方を見たり聞いたりすると、自分を客観視することができ、常に自分の技術を磨く事ができます。

以上の理由から先輩、後輩問わず、技術交流はどんどんするべきなんですね。相乗効果で全体のレベルも上がります。

ただし、パターンを見せてもらう人は選びましょう。色々な人の色々なやり方を学ぶと、自分の考えが持てなくなってしまいます。できればアイテム毎に一人に絞る事をオススメします。シャツはこの人!ジャケットはこの人!スラックスはこの人!など。

尚、繰り返しになりますが、これは環境に恵まれた人だけできる方法です。もしもあなたがこのような環境にいるならば、積極的に行動してください。格段に技術力が上がります。しかも、自分のブランドの先輩に優れた人がいると更に上達が早くなります。日頃からしっかりコミュニケーションを取ってくださいね!

いかがでしたか?これら全てを実行するにはとても時間がかかりますし、行動力も必要になります。朝早く起きてトワルを組んだり、休みの日にパターンを作成する必要も出てきます。ですが、この労力を惜しんで技術力の向上はありえません。しかし、やればやるほど差が出るのも事実です。

なら、いつやるの!?

・・・それはあなたが決めてください・・・!

モデリストになる為には他にも学ばなければならない事が沢山あるのですが、それはまた次の機会に!

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