縫製技術を高める2つの方法とそれにより得られる多大なメリット
今回は、縫製技術を高める方法と、それにより得られるメリットについて書いていきたいと思います。一流のモデリストになる為には避けて通れない道ですので、しっかりと読み実践しましょう。
現在専門学校で勉強中という方は、前回のパターン設計能力がグンッとアップする勉強方法も参考に技術習得に励んでください。短い学生生活である程度のレベルまで到達する事ができれば、就職に困る事はありませんよ!
企業でパターンを作成しているプロの方は、「何故縫製の技術力が必要なのか?」という気持ちを抱きつつ読み進めてください。
それでは早速見ていきましょう。
目次
縫製技術を高める方法は大きくわけて2つ
縫製の技術力を高めるには以下の2つを行ってください。
フル工程を学んで全体観を理解する
パターン作成の時と同じ事が言えますが、最初から最後まで通しでやることによって、全体的な工程が理解できます。恐らくテーラードジャケットのフル工程を学ぶにはかなりの時間が掛かると思いますが、理解できると目の前がパッと明るくなります。
パターンを自分で作成し、そして縫製も最後まで全部やり通します。すると、パターンという2次元のものが襟になり袖になり、最後に全部つながって一着の服が出来上がります。これが、最初から最後までを手がけた完全オリジナルの一着になります!この達成感がモチベーションアップに繋がります。
この作業を経験しておくと、技術に関する色々な書籍や講習会での理解が格段に高まります。是非、フル工程を学んでください。
とは言ってもなかなか資料はありませんし、独学だと何年掛かるかわかりません。また、社会人の方は学校に通う時間もありませんよね。
宣伝になってしまい申し訳ありませんが、そんな方の為に作った書籍がメンズ技術大百科であり、このブログであり、私の行う講習会なのです。
メンズ技術大百科はプロ向けの書籍なのでハッキリ言って人を選びます。ちょっと服を作ってみたい程度の考えでは全く理解できないでしょう。
しかし、本編4冊(テーラードジャケット編・ベーシックパンツ編・シャツ編・テーラード風カジュアルジャケット編)はパターンメイキングとソーイングのフル工程を載せていますので、本気でフル工程を学びたい方は時間短縮の助けになると思います。
それでも、フル工程を一発で理解するのは難しいと思います。作業するうちに度々躓く事もあるでしょう。
そこで、講習会では私がフル工程を皆様の前で実演するという形をとり、基本から応用までをより深く理解していただけるようになっています。お時間が合えば、是非ご参加ください。通常、何年も掛けて学ぶ所を”超短期間”であなたの頭に叩き込ませて頂きます(笑)ハードですよ~!
各工程にあるテクニックを習得する
色々な先生の書籍を参考にしたり、講習会に出席したり、先輩に聞いたりして、胸箱ポケット、腰フラップ、ピスポケットなどの細かいディティールやテクニックなどを学んでください。もちろんクセ処理などもここに含まれます。
当ブログでも現在いくつかの動画を公開していますが、今後もこれら細かいパーツ作りやテクニックの動画を公開し、技術向上のお手伝いをしていこうと思っています。
このパーツの作り方が知りたい、こんなテクニックが学びたい等あれば、こちらからリクエストしてくださいね。
フル工程が森だとしたら、各工程にあるテクニックは木にあたります。一つ一つの工程を高いレベルでクリアしておくと、これらを網羅した上での服作りを行う事ができます。細かいパーツ毎の手法と仕様に対する作り方(腰箱ポケット・胸箱ポケットはどう作るか等)を熟知している事になりますから、このレベルまで来ると工場さんとも対等に話す事ができるでしょう。
フル工程と各工程のテクニック、これらをしっかりと学ぶのは大変です。専門学校ではディティールから入る事が多いので、フル工程を理解している人が大変少ないと感じます。また大まかな流れはわかっても、細かいディティールまで手が回らないという学校も多いです。
正直な話、服を学ぶのに3年という期間は短すぎるのです。しかも利益重視の学校の場合、安く雇える講師を採用したり、授業数を減らしたりしますから、これでは技術者は育ちません。このような環境に身を置いた場合、積極的に勉強する意志が大変重要になります。
縫製技術を高めるメリット
ここからはプロ向けのお話です。仕事ではずっとパターンを作成しているという人も多いでしょう。しかし、空いた時間に縫製を勉強しておくことで大きなメリットを得ることができます。
工場と対等な立場で話せるようになる
フル工程や各工程のテクニックを学んでおくと、それを今度、マシーンメイド化した時にどういう流れになるのかがわかる様になります。今まで手でやっていた作業をオートメーション化するわけですからね。
特殊ミシンの使い方なども理解できるようになります。例えばフル工程を学ぶ際に「穴かがり」がありますが、工場に行くと「穴かがりミシン」というものがあります。ポケット作りで玉縁を作る時は「PWミシン」というマシーンがあります。
これらが理解できるようになると、工場さんと同じ目線で話すことができるので、各パーツの工程のクセ処理などのテクニックも同じ目線で話し合う事ができます。相互理解ができるわけですね。そうすると、こちらの要求に対して工場さんから逆提案が来たりします。そして更にこちらから提案し、逆提案があり・・・と、どんどん良い物が出来上がるというわけです。
これにより、ファーストサンプルの段階で”超”ハイクオリティな商品が作れるのです!
技術力が無いと、自分の意図が伝わりません。最悪なのが、工場に技術指導に行ったつもりが教えられて帰ってくるパターンです。これでは、工場さんと対等の立場で話せず、言いなりになってしまいます。繰り返します、これは最悪ですよ!
工場選定の力が身につく
工場さんから逆提案をもらうには、もちろん工場さんと仲良くなる必要はあるのですが、実はそれでも逆提案する、しないの比率は3:7くらいで、逆提案しない工場さんの方が多いです。
そこで、より良い商品を作りを考えた場合、工場の目利きが必要になるのは言うまでもありません。この目利きに重要なのが、フル工程の熟知と各工程のテクニックの熟知なのです。
自分のスキルが上達すると、工場さんのレベルがわかってきます。ラインを見ただけで一発でわかります。また、上手く作れる工場さんはどんな考え方なのか、会話を重ねているうちにわかるようになります。
そして、今現在それほどレベルの高くない工場さんでも、あなたのスキルが高ければ、工場さんもその要求に答えられるように色々頑張ろうとしてくれます。そういう姿勢の工場さんには伸びしろがあり、今後ハイクオリティな商品を作れる工場に必ず成長します。どんどん足を運び、技術指導してください。それにより工場さんのレベルがアップします。これはお互い大いにプラスになります。そういう関係になると、今後無理なお願いも聞いてくれるようになります。
いかがでしたでしょうか?
あなたが縫製技術を高める事は、工場の質を高め、商品の質を高める事に直結するということがお分かり頂けましたか?より良い商品を作るため、日本の技術力向上のため、縫製技術の習得に励みましょう!
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